学習のねらい 筆者の提案する人間の生き方について、文章構成をもとに把握し、自分に照らして考えを深める。
「生きもの」として生きる
「人間は生きものであり、自然の中にある」。これから考えることの基盤はここにあり
ます。これは誰もがわかっていることであり、決して新しい指摘ではありません。しか
し、現代社会はこれを基盤にしてでき上がってはいません。そこに問題があると思い、
改めてこの当たり前のことを確認するところから出発したいと思います。
まず、私たちの日常生活は、生きものであることを実感するものになっているでしょ
うか。朝気持ちよく目覚め、朝日を浴び、新鮮な空気を体内に取り込み、朝食をおいし
くいただく………これが生きものの暮らしです。 目覚まし時計で起こされ、お日さまや空
気を感じることなどなしに腕の時計を眺めながら家を飛び出す 実際にはこんな朝を
過ごすのが、現代社会の、とくに都会での生活です。ビルや地下街など、終日人工照明
の中で暮らすのが現代人の日常です。これでは生きものであるという感覚は持てません。
生きものにとっては、眠ったり、食べたり、歩いたりといった「日常」が最も重要で
なかむら けいこ
中村桂子
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