~古文~
① ある人、咸陽宮の釘かくしなりとて、短剣の
つば
鍔に物数寄て、腰も放たずめで興じける。
② いかにも金銀銅鉄をもて花鳥をちりばめたる
古物にて、千歳のいにしへもゆかしきものな
りけらし。
③ されど何を証として咸宮の釘かくしと言へる
にや、荒唐のさたなり。
④ なかなかに「咸陽宮の釘かくし」と言はずは
めでたきものなるを、無念の事におぼゆ。
うらい
おほ
ときはたんぱく
たかげんご
⑤常盤潭北が所持したる高麗の茶碗は、義士大
4.0
高源吾が秘蔵したるものにて、 すなはち源吾
よりつたへて、 また余にゆづりたり。
①
C
⑥ まことに伝来いちじるきものにて侍れど、何
を証となすべき。
たぐ
⑦ のちのちはかの咸陽の釘かくしの類ひなれば、
やがて人にうちくれたり。