みずぎわ
岩屋の入口から一尾のえびがまぎれこんで、岩の壁の水際にとまっ
て触角をしきりに動かした。もう随分夜が更けているのでこの小動
物は寝泊まりに来たのかもしれない。あるいは苔の花粉の香をかい
で、それを食べにやって来たのかもしれない。
こけ
さんしょううお
山椒魚はこの小さな動物が一生懸命物おもいに耽っているような
ざんこく
ひと
様子を見ると、それを一呑みに食ってしまうのも惨酷らしく思われ
て、じっとながめた。だが
物思いに耽っているのではなく、
よく寝込んでいるのであろう。何しろそのままにしてやる方がい
(井伏鱒二「幽閉」)
あたかも
えてして おそらく けっして たとえ
どうか
ないし
もっぱら やおら ややもすると