一次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
中学二年生のソラは、同級生のハセオに誘われて、俳句を創作す
るようになり、俳句の魅力に引き込まれていく。ソラたちは、ヒマ
ワリ句会を作り、同級生のユミも参加することになった。三人は、
意欲的に俳句を創作している。
学校で行われた俳句大会で優勝したユミは、校長先生からの〝豪
華景品を受け取りに行った。
注1
そういえば、今年は雪が降っただろうか。ひどく寒い日に一日降った
ようにもけっきょく一度も降らなかったようにも思う。ハセオは、あ
あいう句を作ったということは、どこかで雪を見たのかもしれない。 校
長先生から聞かされた、ハセオの話を、ユミは思い出していた。 春休み
前、豪華景品〟を受け取りに行ったときのことだ。なんのことはない、
校長先生が学生時代に出した詩集を、自費出版で立派な装丁の本にした
ものだった。タイトルは、「青春はがんもどき」。気持ちはうれしいけ
ど、こういうのをもらって、喜ぶ子はいるんだろうか······。 でも、「造
本に凝って、時間がかかってしまったよ、ほらこのフランス装がき
れいでしょう?」とうれしそうな校長先生を前にして、
せるわけにはいかなかった。
注2
それよりも、ユミにとって重要だったのは、「ヒマワリ句会のハセオ
くんなんだけどね。」と前置きをして始まった話のほうだった。 「俳句
大会の開会宣言のあとですぐ、私に直談判を求めてきたんだ。校長
じかんばん
顔を見
注3
室に、いきなりやってきたハセオは、言いたいことがあるという。 校長
先生の発言を取り消してほしい、と。俳句は伝統文化。そう言った先生
の言葉が、どうしても許せないのだという。伝統文化と言ったとたんに、
祠の中の神様みたいになるのが、自分はいやだ。俳句は確かに昔から
あるけれど、いまの自分の気持ちや、体験を盛るための器として、自分
は俳句をやっている。校長先生の発言は、 いま、ここの詩〟としう
て、俳句を作っている自分たちを、ないがしろにするものだ。「彼の言
葉が、ぐさっと胸に突き刺さってね。」俳句とはなにか、詩とはなにか。
生徒から問われた気がしたのだという。「あの生徒も、やはり、わが校
の誇りだよ。」 校長先生は、私も考えがあって言ったことなので、
発言の取り消しはしないが、あなたから与えられた宿題"として、あ
なたの卒業の日までに、考えておくと返したそうだ。ハセオは、それで
いちおう、満足した様子だったという。校長先生に自分が宿題"を出
したというのが、うれしかったのかも、などとユミは思う。あいつは、
いつも宿題に苦しめられていたから。「この本を出そうと思ったのも、
彼の言葉がきっかけだったんだ。ところで、俳句大会に彼が出した
句を君は知ってる?」 ユミは頭を振る。本人に聞いても、適当には
ぐらかされたまま、いまに至っていた。
かぶり
校長先生は少し考えてから、「君は彼と同じ句会の仲間、つまり旬友
だしね。俳句大会の優勝者でもある。感想を聞いてみたい。彼には、私
伝えたことは、内緒にしておいてくれよ。」と断ってから、「こんな
たんざく
句なんだ。」と、一枚の短冊を渡した。 俳句大会の投稿用紙として、使
われたものだ。短冊の裏に、クラスと名前を書く欄があるから、それを