こんな天気のいい日に、泣きながら歩いているなんて、いい見世物だった。たかが失恋」
したくらいで、人まえで泣くなんてバカげている。頭ではわかっていても、切り裂いたば
かりの胸はあふれるように血を流していた。
相手は信じるに足りない不実な男だった。なぜ、不実な男に限って目を離すことができ
ないほどの魅力をもっているのだろうか。恋の度肉である。長い坂道をのぼってくる若い
女は、これで何度同じ間違いを繰り返したか思い起こし、泣き笑いの表情になった。
そのときのことである。女は街路樹の枝にブティックのしゃれたフライヤーのように飾
られたピンク色の本を見つけた。あたたかな色味にひかれて手を伸ばす。若い女は涙に濡