-
3
第八問 次の文章を読んで、後の問に答えよ。
こうかつ
むく
われわれはなぜ、子どもに対して、純粋とか無垢といったイメージを思い浮か
べるのだろうか。現実の子どもたちは、学校や塾での友だち関係や家庭環境のな
かで、大人と同じように悩み、そして狡猾に立ち回ったり、ときには思わぬ世知
を発揮したりもする。自分の子ども時代をふりかえっても、ただ無垢な存在で
あったとはとうてい思えない。多くの人がそう感じているはずなのに、われわれ
が子どもを見るとき、心のどこかで子どもは純真無垢であるという観念が働いて
しまい、それはなかなか拭いきれない。子どもを大人とは違った特別な存在と見
るこのような観念は、いったい何に由来するのだろうか。
われわれは誰もが、大人になる前に、子ども時代を経験する。同じ人間であり
ながら、年齢によって、人は大人と子どもに区別され、社会生活の多くの局面に n
おいて異なった扱いを受ける。今日のわれわれの社会では、幼児期、子ども期、
思春期、青年期、中年期、老年期などさまざまなライフステージの区分があり、
人はそれぞれの年齢段階にふさわしい行動をとるよう社会から期待されている。
それぞれの段階に、法律や制度や慣習による年齢規範や文化規範が存在する。多
年齢は人びとを社会的に区分し編成 56
くの社会学者がシテキしてきたように、
するための非常に大きな原理であり、そのために人のアイデンティティを構成す
る要素として重要な意味をもっている。
2
★
日本
たとえば、自分の現在について考えるときも、将来を予測するときにも、われ
われは自分の年齢とその年齢が持つ社会的な意味あいを コウリョにいれずには
いられない。また、見ず知らずの人に会うときでも、相手がどんな世代の人なの 2
かを知っていれば、いくぶんかは予測がつき、心の準備をすることができる。つ
まり年齢とは、生物学的な加齢 身体が成長、発達し、やがて衰えるというプ
ロセスの一時点をたんに示すものではなく、加齢のプロセスに対して社会が
付与するイメージと深く関わる概念なのである。そしてそのイメージには、それ
ぞれの社会の文化や歴史、政治や経済等におけるさまざまな要素が複雑に織り込
まれている。〈大人〉と〈子ども〉の二分法は、そのようにして社会が年齢を基準
に構成メンバーを分ける際のもっとも基本的な区分なのである。
〈大人〉は一人前の社会人としてさまざまな権利や義務をもつが、〈子ども〉は
そうではない。〈子ども〉は未熟であり、大人によって社会の荒波から配
発達に応じてそれにふさわしい
ひご
*せち
[出典]
かわはらか
河原町
「子
〔著者
・愛
大