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2 次の文章は、「森で染める人」の一部である。 これを読んであとの問いに答えなさい。 (P.100~P.109)
この場所に暮らし、誘われるように色を染める日々の中で、やっとたどり着いた答えがある。 自然と関わり、自
然にかえっていく物作りの中で、 どんなに手間や時間がかかっても、その土地の"環境"を持続できる。 技術
を残していきたいということ。
私自身が色を染め、物を作る日々の中で、自分の求める表現を可能にするための技術と、それを支える環境を受
け継いでいくということだ。環境を変えてしまうほどの大きな技術が、大切に受け継がれてきた無数の小さな技術
淘汰してしまう時代に、何を手放し、 何を残していくのか。 「染める」行為は私にとって、その先にある季節を
感じることであり、 背景である土や水との関わりであり、大きな循環の一部だ。 それは染色のことだけでなく、
日々の暮らしのあらゆる場面で実感している。 野菜を作ること、山の木をきって燃料にすること、 子供が川で釣っ
てきた魚を家族で食べること。自然とじかにやりとりする中で、一つの行為を自分の手の届く範囲で完結させ、循
環させること。それを可能にする環境さえあれば、きっとそれは難しいことじゃない。 どこから来て、どこへ行く
のかを可視化させることよりも、それを肌で感じられる環境こそが、私には必要だったんだと思う。
草木の持つ色は美しい。私たちは今、草木染めの布を使って服を作ることに取り組んでいる。植物の色は化学染
料と比べると不安定で、全体的に淡く落ち着いた色味になる。日光による退色や変色のぐあいも植物によってさま
ざまなので、 商品にするには、どの植物でもよいというわけにはいかない。 下地や定着を工夫したりして、時間を
かけて染め重ねていく。 市販されている合成の助剤などを使えば、複雑な模様の表現や鮮やかな発色も可能だけれ
ど、できるだけ自然の物、中身が分かる物を使いたい、 手仕事の跡を大切にしたいという思いがある。 それは本当
に手間と時間を必要とすることで、 非合理的にも思えるけれど、物があふれかえるこの時代で、自分が物を作るこ
との意味を曖昧にしたくない。 自然からも人からも搾取せず、持続していける選択をしたい。
②少しでも気を抜くと、私たちは自然の循環する輪から放り出されてしまう。 知らず知らずのうちに、その場を
断ち切っているかもしれない。 全ては自分の選択に委ねられているのだとすれば、私が今日選んだ道はどこへつな
がっていくだろう。この美しい世界を次の世代へ手渡すために私ができるのは、彼らの少し前を歩くことだけだと
思う。 コケで覆われた倒木や、空に伸びるヤシャブシの木は、ただ美しくそれを繰り返している。私はまた何度で
もそういうものとの邂逅を求めて山を歩くだろう。
[一]傍線部①「土地の"環境"を持続できる技術」とあるが、この内容を端的に表している一文を抜き出し、
初めと終わりの五字を答えなさい (句読点は一字に含む) [知・技] (6点)
[二] 次の傍線部の漢字の読みを平仮名で書きなさい。 [知・技](3点×6)
①淘汰 ②可視化
③曖昧 ④搾取
⑤委ねる
°
⑥邂逅
[三]傍線部②「少しでも気を抜くと、私たちは自然の循環する輪から放り出されてしまう」とはどういうことか。
本文中の語句を用いて説明しなさい (時数制限なし) [思・判・表] (6点)
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