【現代文のキーワード 普遍 (ふへん)
特に明確な契約関係による義務や権利が発生する「近代」社会においては、個人が約束を一貫して守る、と
いうアイデンティティを持つことが強く要求されてきた。こうした自己の一貫性や同一性が、近代的な市民社
会における個人の役割や集団の結びつきを成り立たせる基盤となってきたのである。ところが、今日、「近代」
社会のこうした前提がゆらぎ始めている。というのも、社会の多様化・流動化に伴って、現代人は自分の一貫
性や同一性を維持していくことが難しくなり、「自分」というものがよくわからなくなって、あたかも、自分の
本質が奪われて不本意な生を強いられているという実感を持つようになってしまったからである。そのような
状況を「自己疎外」とよぶこともある。
現代評論では、そうした問題を掘り下げて、自己同一性が危機に陥ったり、人々が自分の役割や所属意識を
喪失してしまっている状況(アイデンティティ・クライシス)に言及することによって、現代社会における自
意識(p4のキーワード)のありようを明らかにしていこうとする傾向がみられる。よく覚えておこう。