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三次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
茶の湯の会)
じゅらく
豊臣太閤聚楽の亭に点茶の会ありて、中院内府を招かれしに頃し
冬の末なれば、庭の草木も霜いと白く置きて、朝日やや差し出づるほど
に、遣水より煙の立ち上るなんど、いと物静かなるに、春待ち顔なる
鶯の呉竹に木伝ひて、まだ音も立てやらぬさまを太閤御覧じて、「和歌の
聞いておりますので)
徳は目に見えぬ鬼神をもやはらぐると聞きれば、あはれ歌詠みて、 陽谷
の春の景色を返し給へかし」とありしかば、内府うち笑みて、「それはそ
(よるでしょう)③
(どうしてそのようなことが期待
の人の徳にこそより侍らめ。 通茂などが身にて、如何でさる事は思ひかけ
できましょうか) (おっしゃりつつ)
「作るべき」と宣ひながら、
朝霜の寒きねぐらの呉竹にひかげ待ち得て鶯ぞなく
と詠み給ひければ、やがてかのうち上がりて、はなやかに一声鳴いて飛
び行きければ、太閤をはじめなみ居る人々、限りなく愛で感じけるとぞ。
おくりものがたり
(『落栗物語』)
楽第。豊臣太閤が京都に営んだ豪邸。
(注) 聚楽の亭
中院内府
宮廷歌壇の中心人物。
中院通茂。
遣水――庭に水を導き入れてつくった細い流れ。
陽谷―中国で、太陽がのぼると考えられていた東の果ての地。
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くれたけ
こた
Stok
問一
二重傍線部を現代仮名遣いに改めて、全て平仮名で書きなさい。
問
傍線部①2の主語として適切なものを、次のア~エからそれぞれ
一つずつ選んで、その符号を書きなさい。
ア豊臣太閤
中院内府ウ鶯 H **
問三傍線部③の意味する内容として最も適切なものを、次のア~エから
一つ選んで、その符号を書きなさい。
ア茶会にふさわしくない身分の私
道を極めたとはいえない私
X 鬼神ほどの霊力を持たない私
Ⅰ 春の景色に似つかわしくない私
問四傍線部④と同じ内容のことばを、本文中から二字で抜き出して書き
+01.0
なさい。
問五本文の内容の説明として最も適切なものを、次のア~エから一つ選
んで、その符号を書きなさい。
ア内府が、呉竹に鶯がいないのが残念だという歌を詠むと、鶯が一
声鳴いて呉竹に飛び移り、太閤の望む景色となったため、その場の
人々は景色を一変させた内府の力に感嘆した。
イ内府が、和歌の神秘的な力を使って太閤の望みどおりに目の前の
景色を変えたところ、鶯が鳴き声を上げたため、その場の人々は季
節を動かした内府の力に感動した。Jリ
ー
内府が、目の前の景色を太閤の望む華やかな景色に変えようとし
て、鳴き声を上げていた鶯を飛び立たせたため、その場の人々は鶯
を意のままにした内府の力に感激した。
内府が、太閤の求めに応じて歌を詠むと、歌のとおりに鶯が鳴
き、目の前の景色から春らしさを感じることができたため、その場
の人々は春を呼びこんだ内府の力に感心した。
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