小学五年生の女の子の「わたし」が、保健室のヒデコ先生(ヒデお
ば)のもとを訪れると、小学一年生のたっちゃんが、困難な手術のた
めに入院することになっていました。次の文章はそれに続く部分で
す。これを読んて、後の問いに答えなさい。
ヒデおばはたっちゃんの両親ともう少し話をしてから、カーテンを開
けた。横からお父さんが「たっちゃん、ヒデコ先生にお別れしなさい。」
と言った。「いままでお世話になりましたって。」お母さんは黙って、ハ
ンカチを目元にあてていた。たっちゃんはお別れの意味がよくわからな
いのか、きょとんとしてうなずき、「ヒデコせんせい、またね。」と手を
振るだけだった。こっちのほうがつらくなって、たっちゃんの手術のこ
n
とが心配にもなって、胸が熱くなった。口の中でドロップスが溶ける。
が溶けて、広がって、染みていく。ヒ犬おばは、白衣のポケット
に手を入れた。「たっちゃん、もうハッカのドロップス食べた?」「う
ん、おいしくないからのんじゃった。」「じゃあ、お別れだから、もう一=
個あげる。」緑の缶をポケットから取り出して、カラカラ、と音をたて
て振った。「たPつゃんがいちばん欲しいドロップス、言いなさい。そ」
れが出たら、王術が成功して元気に遊べるよ。」うそー。だめ、それ1
プドウがいいなあ。」
わたしはあわてて口の中のドロップスを呑み込んで、ヒデおばに、だ 5
めです、やめてください、と言おうとした。ても、オレンジの甘みで口
の中がべたべたして、呑み込んだドロップスも喉にひっかかったみたい
で、声が出ない。「なにが出てくるかわかんないけど、ブドウだったら、
うれしい?」「うん。」「先生もうれしいけどねえ、どうだろうねえ、う
まくいくかどうかわかんないよ。」そんなのやめて。ゲームにしない
絶対に負けるゲーム、たっちゃんにやらせないで。