【きみたちは今、日々成長しているよね。まだ幼いとか、まだ若いとかいうの
は、どんどん成長していく途 中にいるってことで、考えてみれば楽しみなこ
と ちゅう
とだよね。多少の個人差はあるとしても、年をとるごとにだんだん退化してい
ってしまう、ということは絶対になくって、みんな確実に成長するんだ。五年
生より六年生のほうが、そしてそれより中学一年生のほうがしっかりしてい5
る、というふうに人はだんだん成長し、完成されたものに進んでいく。
そして、成長することの目的は、社会の中で幸せになる力を身につけること
だ。〈中略〉】
ところが、成長にはそれとは別に、目標がある。人が成長する時の目標は、
親から切りはなされても生きていけるものになる、ということだ。
それは、納得しやすいんじゃないだろうか。子どもは成長して、大人になる
んだよ。親は子どもを、大人に育てあげようとして養育しているんだ。
そのために、子どもには親がいてほしい。確かに場合によっては、親のいな
い子どもというケースもあるんだけど、その時は身近な大人が親代わりとなっ
て養育してくれるわけだ。
いずれにしても親は、子どもを一人前に育てあげたいと願っているはずだ。
そこでさて、子どもがちゃんと大人にまで成長できたとする。するともうそ
てられるようになることを目標に、成長していかなきゃいけないってことだ。a
少しギクリとしちゃうかな。
親をすてるなんて、どうしてそんな冷たいことを言うんだ、と思うかもしれ
ないな。親というありがたいもの、いてくれなきゃどうにもならないくらい大
切なもの、親に愛されていると思えば何よりぬくもりがあって、勇気もわいて
くるというかけがえのないもの、そういう大切な親をなんですてるんだよ、と8
そのことを、わざとちょっとショッキングに言うと、子どもはいつか親をす
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の人には、育ててくれるという意味での親はいらなくなるんだよね。