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この小説の読解問題についてです。 問 傍線部(2)とあるが、なぜ「私」はそのような気持ちになったのか。三十字以内で説明しなさい。 模範解答は、「家計で苦労している母を少しでも助けたいと思ったから。」です。 私の回答は、「五年間同じ靴を使ってほしいという母の気持ちに気付いて... 続きを読む

10 15 四月一日の入学式の日、私は新調の黒の小倉の服を着、帽子をかぶり、靴を履いて登校一 した。新入生は朝礼の時、老いた体操の教師によって整列する順を決められた。身長の最 も高いものが最右翼に置かれ、それからあとは背の順で次々と並ばされた。 る 私は初め列の中頃に並んでいたが、体操の教師は私に目を当てると、 「その帽子はずっと下がって」 と言った。どっと笑い声が起こった。私ははっきりと帽子と呼ばれたのが自分であるこ とに気付いたので、すぐ自分の位置を変えた。 「もっと、もっと」 教師は言った。私は更に後尾近くに自分を運んだ。 もっと、もっと、こら、その帽子はずっと下がる」 笑い声が起こった。私は顔から火が出るような気持ちだった。最後尾から三番目に私の 席は決められた。 私が自分の位置に立っていると、老いた体操の教師は近付いて来て、私の前に立った。 そして彼は視線を私の頭から足もとに移し、あとはじっと私の足もとを見下ろしていたが、 その靴はこんど買ったのか」 と言った。 「そうです」 「大きな靴買ったもんだな。 ー体操ができるかな、それで」 こんどは体操の教師の言葉にはからかいの口調はなかった。

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