★★★☆☆
りょうほ
88 次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
*2
呂尚父が妻、家貧しきを住みわびて、離れにけり。呂尚父、王の師とな
りて、いみじかりける時、かの妻帰り来て、②もとのごとくあらんこと
をけ
ひ望む。その時に、呂尚父、桶一つを取り出でて、「これに水入れ
よ」と言ふままに入れつ。 「こぼせ」と言へば、こぼしてけり。さて、
「もとの③やうに返し入れよ」と言ふ時、妻笑ひて、「土にこぼせる水、
いは
④いかでか返し入れん」と言ふ。呂尚父曰く、「汝、我に⑤えんつきしこ
と、桶の水をこぼせるがごとし。 今更いかでか帰り住まん」とぞ言ひける
しゅう
せい
・じっきんしょう
(『十訓抄』)
(注)*1 呂尚父… 古代中国・周の賢臣で、後に斉の始祖。太公望。
「父」は年長男子への敬称。
*2 住みわびて・・・・・・住みにくくなって。住むのが厭になって。
たいこうぼう