基礎資料
筆者インタビュー
一九六五(昭和四〇)
福井県出身。テレビプロデューサ
著書 「脱炭素革命への挑戦」など。
私は、気候の変化をコンピュータで
再現する「気候モデル」を使って、地
球温暖化について研究してきた。
私が研究を始めた一九五〇年頃には、
「気候は安定したもので、一時的・局
地的な変化はあっても、人間の活動に
よって大きく変化することはない」と
いう考えが主流であった。しかし、世
界各地の観測データの収集や気候モデ
ルの開発など、地道な研究の積み重ね
により、気候は、大気や海洋など、さ
まざまな要素が複雑にからみ合ったも
ので、ささいな変化が急激な変化を引
き起こしうることがわかってきた。今
や、人間の排出する温室効果ガスが原 1
因て、地球の気候が大きく変化してい
るということは、疑う余地がない。
三とも、本書のたちの
まずは、科学的根拠に基づき、
現状や原因を正しく理解すること
産業革命前の千年間ではあまり変動
しなかった地球の平均気温は、その後、
二〇二〇年までの間に、既に一度ほど
上昇している。気候モデルの計算によ
ると、このままでは今世紀中にさらに5
二度ほど上がり、温暖化は海上よりも
陸上で、熱帯よりも北極域て著しく進
と考えられる。
また、温暖化は世界の水の循環にも
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地球上の気温変化のシミュレート結果
北緯
60-
30-
赤道・
30%
60-
南線
北緯
8
60-
30-
赤道-
22
30-
60°
南線
西経 120° 600 60° 120 東経
産業革命前と比べた気温上昇の予測。 上
は大気中 CO2濃度が2倍に (2050年頃ま
でになる見込み)、下は4倍になった場合。
真鍋 淑郎
大きな影響を与える。洪水や干ばつが
増え、水資源の豊かな地域と乏しい地
域の格差は、さらに広がるだろう。こ
れらの予測は、実際の観測データにも
表れ始めている。近年、世界各地で洪
水や干ばつをはじめ、酷暑や豪雨など、
異常気象による災害が相次いでいる。
温暖化がもたらす被害の大きさは、
地域や世代によって異なる。そのため、
問題への向き合い方にも温度差があり、p
今なお、「地球温暖化は起きていない」
と主張する人もいる。 しかし、問題の
認識そのものがずれていると、解決は
難しい。まずは、科学的根拠に基づき、
現状や原因を正しく理解すること。そ
のうえで有効な対策を講じることが、
問題を解決するための第一歩である。