形成と誘導
細胞性粘菌の一種であるキイロタマホコリカビは,図1のように分裂して増殖する。
栄養が少なくなるとアメーバ状の細胞が集まり、マウンドと呼ばれる集合体を形成する。
この時期にできた突起の細胞群からは,ある信号物質が放出される。やがて突起が上
方に伸びると横倒しになって,ィ突起部分を前部とする前部・後部の区別のある移動体
となる。移動体はその後,前部が上方を向き,伸びて柄となり、後部はその柄の先端で
胞子に分化して子実体を形成する。
アメーバ状
突起のあ
マウンド
るマウンド
←
・集合
移動体
後部 前部
→
→
子実体
○-胞子
一柄
子実体形成
図1 キイロタマホコリカビの生育と分化(前部や柄の細胞群を白抜きで示す)
問1 下線部アに関連して, カエルの外胚葉の分化にもある種の信号物質が関わる。初
期原腸胚の外胚葉の細胞からは物質Bが分泌されており,これが外胚葉の細胞の細胞
膜受容体Bに結合すると外胚葉は表皮に分化する。 形成体である原口背唇の細胞から
は物質Nが分泌されており,接した外胚葉の物質Bと結合すると物質Bと受容体Bの
結合が妨げられ外胚葉は神経に分化する。 初期原腸胚から切り出した外胚葉を用いて
以下の実験をした場合に導かれる結果として最も適当なものを、次から一つ選べ。
①外胚葉を単独で培養すると, 神経に分化する。
②組織によく拡散する物質N阻害剤を加えて外胚葉を培養すると, 神経に分化する。
③組織によく拡散する物質B阻害剤を加えて外胚葉を培養すると, 表皮に分化する。
④ バラバラに単離した外胚葉の細胞をよく洗浄してから培養すると神経に分化する。
下線部イの移動体の前部や後部には突起形成能力と突起形成抑制能力 (突起をつ
くらせない能力)があり、その相対的な強さに違いがある。その相対的な強さを調べ
るため,色素で標識した移動体から前部細胞群と後部細胞群を切り取り、他の移動体
の前部や後部へ移植する実験を行い、その結果を得た(例:図2)。切り出した細胞