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カルボン酸とアルコールを混合し, 酸を加えて加熱するとエステルが得られる。 その
中でも、分子量の小さいエステルは芳香をもつため、 香料などに用いられる。 反応容器
にプロピオン酸とエタノールを混合し、少量の濃硫酸を加えて加熱したところ, 食品の
香料に用いられるプロピオン酸エチルが生成した。さらにこの反応混合物を一定温度で
保つと, 化学平衡に達した。
一方, エステルを加水分解すると, カルボン酸とアルコールが生成する。 プロピオン
酸エチルの構造異性体のうち, 5種類のエステル化合物A~E) に対して, それぞれ加
水分解を行ったとき, 生成物とその性質は以下のとおりであった。
(1) 化合物A, B からは銀鏡反応を示す化合物Xが生成したが, 化合物 C, D, E からは
生成しなかった。
(2) 化合物Cから得られたアルコールの沸点は,化合物Dから得られたアルコールの沸
点よりも高かった。
(3) 化合物Dから得られたカルボン酸は直鎖状分子であった。
(4) 生成したアルコールに硫酸酸性の二クロム酸カリウムを作用させた。 化合物 C, D
から得られたアルコールからはアルデヒドが生成した。 化合物 A, E から得られた
アルコールからはケトンが生成した。 化合物Bから得られたアルコールは酸化され
なかった。