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発展例題 7
ウイルスの分子系統樹
発展問題 145
っている。このような塩基配列やアミノ酸配列の変化は一定の速度で進むことから、
ウイルスも生物と同様に, 共通の祖先から分かれた後にさまざまな突然変異が起こ
その変化の速度は ( 1
安となる。 ウイルスの免疫からの回避もこの突然変異で説明される。 もともと、感染
と呼ばれ, 進化の過程で枝分かれした時期を探るための目
残ることがある。これが(2)説の考え方である。 一方で変異により生存に対して
者の個体内でウイルスに多様性が存在していて, そのなかで環境に適したものが生き
有利不利がみられないことも多く, このような変異は遺伝的( 3 )によって集団全
体に拡がったり消失したりすることがある。これが ( 4 )説の考え方である。
問1.文中の( 1 )~(4)に最も適切な語を入れよ
問2. アミノ酸や塩基の配列から分子系統樹を作成する方法がある。 図1はウイルス
の遺伝子配列が異なる株A~Dの塩基配列の一部を示し, 図2はこれらの株の塩基
配列をもとに作成した系統樹である。 図1に示す以外の塩基配列は各株間で同一で
あった。
株A:AAAGGUAUAUCCCUUCCCAGGUAACAAACCAACCAACU
株B:AAAAGUAUUUCCCAUCCCAAAUAACAAACCAACCAACU
株C:AAAAGUAUUUCCCUUCCCAAGUAACAAACCAACAAACU
株D: AAAAGUAUUUACCAUCCCAAGUAACAAACCAACAAACU
図1 株A~Dの遺伝子配列 (太字の箇所以外は、株間で同一)
(1) 図2の系統樹の①~③に入る株名を, A, B, Dからそれぞれ1つ選べ。
(2) ウイルスの進化速度が一定であるとして, 株Cと株
Dの最も近い共通祖先が4か月前に分岐したとすると,
株Aと株Cの最も近い共通祖先が分岐したのは何か月
前か。なお,この系統樹の線の長さは塩基置換数の違
いを正確には反映していない。
21. 熊本大改題)
解答
- 株C
③
図 2
□ 145
多
先
0
問1.1…分子時計 2… 自然選択 3・・・浮動 4・・・中立
問2 (1) ①・・・株A ②・・・株D ③・・・株B (2)10か月
解説
問2.(1)系統樹に示されている株Cを基準として,株A, B, Dは塩基がいくつ異なる
かを図3から読み取る。 結果, 株Dは2個, 株Bは3個、株Aは4個異なっており。
この順に類縁関係が近いと判断できる。
(2) 株Cと株Dが共通の祖先から分岐した後, 塩基はそれぞれ2÷2=1個ずつ置換して
いるので, 1個の置換にかかる期間は4か月。株AとB, C, Dの塩基の違いは,
それぞれ, 5, 4, 6なので, 平均して (5+4+6)÷3=5個である。 したがって, 塩基が
5÷2=2.5個ずつ置換していることになるので, 2.5×4か月=10か月となる。